生まれた町…それでも。
私が生まれた土地は遥か北の小さい田舎町。
周りは田んぼや畑が広がるのどかな田舎町。
近所は空き家や廃墟が多く、過疎化が深刻化する町。
特産品もなく、名物もない寂しい町。
町一番の繁華街は今となってはなごりすら残さないシャッター街。
学校は次々と閉校する町。
近くの病院まで車で1時間かかる町。
今年隣の婆さんが老人ホームに入った。
今はもう絶滅した義理、人情の残る温かい町。
選べる仕事といったら、農家を継ぐか、近くの工場に勤めるか、この2択だけ。
困ったら年寄りばかりの住民で助けて合う町。
すでに時代に取り残された、時計の止まった田舎町。
この滅び行く町に恩返しをし、町民の末裔として、かつての賑やかさを取り戻す為に、我々は戦わなくてはならないかもしれない。
静かに滅び行く小さな田舎町…されど思い出が詰まった心の故郷よ。